「憤死ってどういうことかな。」
「憤りのあまり死ぬことじゃない?」
「憤りのあまり死ねる?」
考えたこともなかったな・・・
「死ねないよね。」
ボニファティウス8世アナーニ事件にて憤死・・・。恥の多い日常生活を送っていた高校生にとっては想像もつかない言葉でした。話の種はいくらでもあり、どんなくだらないことも友達と話しました。
ある日、一人の級友が「ちょっと職員室に行ってくる。」と言って出かけていきました。学級日誌を取りに行く以外に、職員室に足を踏み入れたことのある生徒などほとんどいませんでしたから、何事だろうとみんなで彼女の帰りを待っていました。1時間ほどで彼女は意気揚々と戻って来ました。
「政経の先生に今の日本の教育がどれほど間違っているかということをお話したら、先生は私の話を聞いて、『お前の言うことは正しい』とおっしゃった。」
「おおぅ。」と歓声が上がりました。
その頃、先生というのは、我々生徒とは別次元にいる存在で、なれなれしい口などきけませんでしたが、このような接し方で落ち着いた日々を過ごせていたのです。毎日が女子会でした。