2012年12月24日月曜日
「幻の本」
子供の頃読んだ本のことを思って胸がざわつくことが多いこの頃です。それも世界文学全集のようなものではなく、雑誌やほとんど出回っていないであろう本なのです。再びめぐり合う可能性はゼロに近いだろうと思うと、なおさら居ても立ってもいられない気持ちになります。いつ、どこで読んだのかどころか、タイトルやあらすじさえぼんやりした記憶しかないものもあります。へたをすると、あまりに時がたったので、そんな本が本当に存在したのかすらもはや自信が持てない始末です。いくつか書き留めると、
1.「魔法のランプ」
アラジンの魔法のランプを求めて旅をする子供の話だったと思います。すべての語尾に「思います」とつけねばならないほど記憶は曖昧です。結局、冒険の旅は徒労に終わるのですが、その時突如、主人公の胸の内に「もしこの目の前の使い古したランプが本物の魔法のランプであると強く信じれは、このランプはそうなる。」という思いが芽生えます。「青い鳥」の焼き直しのような話ですが人を引き込む切迫感がありました。
2.「影が歩く」
学研の「科学と学習」の「学習」の方の付録の冊子だったと思います。内容は茫漠として思い出せませんが、この影というのが不気味なインベーダーで社会が危機にさらされるという話ではなかったかと思います。
3.タイトル不詳
小学5、6年生の「学習」に掲載された連載小説ではなかったかと思います。タイトルが思い出せないのですが、「○○○が×××したよ」的な名前だったような気がします。○のところには「クラックス」とか聞き慣れないカタカナの名前が入り、×のところには「笑った」とか「歌った」とか動詞が入っていたと思うのですが全く違っているかもしれません。内容は学校での友達との交流や葛藤を描いた学園ものでした。表題のカタカナ名は、主人公の頭の中に住む不思議な存在で、主人公がピンチの際にはアドバイスを送る助け手となります。(その声はもちろん主人公にしか聞こえません。) この連載は、この時期の子供が体験する共通の悩みを考えさせてくれました。
こうして書いていても、書いている本人にさえ何のことやらという感じなのですから、自分以外の人には何のことかさっぱりわからないだろうと絶望的な気持ちになります。でも、子供の頃読んだ本が40年たっても、いやたったからこそなのか、これほど気になるというのはどうしたことでしょう。子供の心の中では、いったい何が起こっているのでしょう。