2012年12月15日土曜日

「紅春 4」


 りくが4ヶ月ころのこと、無類の犬好きである友人がりくを見たいと言いました。彼女とは、リチャード・ギア主演のアメリカ映画「Hachi」を一緒に見に行き、「思い切り泣こうね。」と言い合った仲です。(ああいう映画は犬好きとでなければ見に行けません。秋田犬の子犬は成長がはやいという理由で、子犬時代の撮影には柴犬が用いられていました。アメリカ人には区別がつかなかったのかもしれませんが、あれはどこから見ても柴犬です。)
 
 子犬の時代というのは短いものです。最初冗談かと思ったのですが、彼女は本当に東京からわざわざ、りくに会うためだけにやってきたのです。

 その日父から、
「遠くから客人がみえるのでしっかり接待するように。」と言いつかったりくは、お客様に挨拶をし、おやつをもらい、一緒に写真におさまり、寒い2月でしたが、川原のお気に入りの砂場に遊びに行きと、半日大変楽しい時間を過ごしました。


 友人の話によると、以前ゴールデンレトリバーの子犬を見に行ったことがあるが、りくのお行儀の良さは、かの犬とは比べものにならないとのことでした。

 昼寝をせずに半日遊んで疲れたのでしょう、夕方のずいぶん早い時間にりくは眠ってしまいました。いつもの寝床と違うところで寝ているので、
「りくの寝るとこ、こっちでしょ。」
と言いましたが、りくにはもう立ち上がる力は残っていませんでした。子犬なりに全力を尽くしたのでしょう。そおっと寝床へ移して寝かせました。

「よくがんばったね、ゆっくりお休み。」