2012年12月29日土曜日
「たわいない話」
「あと一ヶ月しか生きられないとしたら、何する。」
「好きなことだけする。」
「あたしもー。勉強なんか絶対しないな。」
授業が終わり教卓の片づけものをしていた時、目の前の女子生徒二人がおしゃべりを始めました。聞くともなしに聞いていると、そのうち一人が、がばっと顔をあげて、
「先生は? 余命一ヶ月って言われたら、先生、何する?」
と聞きました。急な質問でしたが、答えはわりとすぐに出ました。
「そうだな・・・、今までお世話になった人をひとりひとり回って、『ありがとう』って言いたい。」
しばらく沈黙があって、
「あ、なんか今、ジンときた。」
私は授業の用具をもって教室を出ました。数年前のことです。
「人生わずか50年」と言われていた時代から、日本人の寿命はずいぶん延びましたが、やはり50年もたつとある程度体にガタがきます。また、近しい人が亡くなることも増えるので、一ヶ月先ではなくても、「そろそろ支度にとりかからないと・・・」という気になります。この世を去るという大事業の支度は、今からとりかかっても20年や30年はかかるでしょう。
2012年の12月21日でマヤの暦が終わっているというので、その日が地球滅亡の日として騒動が起きていることが話題に上りましたが、それは、現在の生活環境や将来への不安によるところが大きいのだろうと思います。先ほどの生徒の話も、高校3年の秋、受験で最も精神的に追い詰められる頃でしたから。
心静かにゆっくり備えていけたらいいなあと思います。