2013年3月1日金曜日

「卒業の朝」


 高校の卒業式は3月1日でした。3月3日から国立大学の二次試験が始まるので、卒業式から帰ると旅支度をし、翌日受験に旅立つのです。ですから、卒業式は「もう帰るところはない」という悲壮感が漂う一方で、「受験がんばれ」という壮行会的な様相を呈したものになりました。

 私が高校時代、唯一学級日誌を取りに行く以外の目的で職員室に入ったのは、卒業式の朝でした。誰が言うともなく職員室に行こうということになり、大きな丸ストーブを囲んで先生と他愛もない話をしたことを覚えています。
他のクラスからもぞくぞくと生徒が集まってきて、その中の友人の一人が私にこう言いました。
「卒業の一言読んだよ。私も全く同感。」
生徒会誌に一人20字で書くことになっていた言葉のことです。提出が三ヶ月以上も前のことだったので、私は自分で何を書いたか忘れていました。後で読んでみると、
「良き師良き友と学べたことは生涯の喜びです。」
と書いてありました。本当に幸せな高校生活でした。