2013年3月5日火曜日

「プラス・マイナス5℃」


 ニュースで報じられたことですが、「今年の1月の気温は南極の方が仙台より暖かかった」ということです。(南極は例年より1℃以上高い0.8℃だったのに対して、仙台は0.7℃です。ちなみに福島はもっと寒くて0.6℃でした。) もちろん南極は夏、仙台は冬ですから、そういうこともあるとは思いますが、とにかく今年は寒く、雪も多い冬でした。

 東京の1月の平均気温は6.1℃(最高気温9.9℃、最低気温2.5℃)で、マンション暮らしをしていると、室温は常に最低でも12℃はあります。体感的には福島とはざっと10℃違う感じです。気温がこれだけ違うということは生活の何もかもが違うということです。東京でもはちみつが凍る(白濁する)ことはありますが、オリーブ油が凍ったことはありません。オリーブ油は10℃くらいで凍るようで、福島ではだいたい凍っています。

 10℃とは言わないまでも、もし東京の気温が5℃低いとしたら、生活は一変するでしょう。先日ちょっと雪が降っただけでもあれだけ交通機関が混乱したことひとつとってみても、また始終雪かきをしなければならないことを想定しただけでも、おそらく首都機能を果たせないのではないでしょうか。また、夏の気温があと5℃上がったら、東京に住むのは生物として無理な気がします。そう考えると、この都市文明がかなり心もとない気象条件のもとで成り立っていることがわかります。

 福島の実家では、都市文明にあらがうかのように相当旧式なものが生き残っています。ファンヒーターではなく石油ストーブ(震災時には電気がなくてもOKですし、上でお湯を沸かしたり煮炊きもできます。)を父は愛用し、そのわきにはなんとマッチがありました。
「こんな『マッチ売りの少女』に出てくるようなマッチがまだこの世にあったとは・・・」
と、私はあきれてチャッカマンを使用していましたが、気温が低すぎるとチャッカマンではうまく着火しないことが判明し、何十年かぶりでマッチを擦る羽目になりました。

 めったにないのですが、粉雪が窓に張り付くような冷え込みの朝は、あやうく水道も凍りかけました。そんなわけで、おそらく凍死するからでしょう、福島ではホームレスを見たことがありません。