2013年3月7日木曜日
「日本とドイツ 発想の違い」
ティッシュペーパーの箱が薄くなったのは、十年前くらいでしょうか。輸送コストが格段に安くなったと聞いてなるほどと思いましたが、最近はこれに限らず紙やビニール製品の薄型化が進み、何事もちゃちになったようで、ちょっと行き過ぎかなと感じています。
ドイツで感じるのはゆるぎない頑丈さです。ドアや家具から日用品に至るまでがっしりしています。電気コードをつなぐコンセントなど人のこぶしほどの大きさがあり、「ここまで頑丈にする必要があるのだろうか」と思うほどですが、なんとなく安心するのです。
ドイツにあって日本にない日用品に、Tempoという名のポケットティッシュがあります。ティッシュという表現は不正確で、4層構造の厚手のhandkerchief(鼻紙)です。最初どう使うのかわからなかったので聞いてみましたが、「ハンカチーフだよ」と言うばかりで、いまいち要領を得ませんでした。日本語のハンカチーフは布製のものしか指しませんが、これはまさに紙でできたハンカチなのです。人が使うのを観察していると、手を拭いたり、汗を拭いたりしても厚手なので一度で丸めて捨てるようなことはありません。折りたたんでポケットにしまうのです。鼻をかむ場合でもきちんと折りたたんで2、3度は使うようです。ハンカチですから。
使い捨てのハンカチとしての便利さがわかると、Tempoは必需品になりました。日本ではなかなか手に入らないものなので、「お土産は何がいい?」と聞かれると、「Tempo」と答えていました。とヘルベルトは不満そうでしたが、いつも頼んで持ってきてもらっていました。
逆に私がドイツへのお土産としていたのは、いわゆるフィルター付きコーヒーです。熱湯さえあれば卓上でお手軽にドリップコーヒーが味わえるというこの製品は、いかにも日本らしい発想の商品で、今はどうかわかりませんが、その頃は普通のドイツのスーパーにはありませんでした。フリーズド・ドライのインスタントコーヒーを飲んでいたエリカに、とても喜ばれたのでした。