2013年4月22日月曜日

「紅春 23」


 りくは素直で控えめな性格です。外の人に対してはそのまま外面よくふるまっているのですが、家族にはあまのじゃくな面を見せます。
 
 散歩でいつもの場所のあたりまで行って「さあ、そろそろ帰ろうか。」と言うと、必ず「やだ、もう少し行く。」とがんばります。負けたふりして「じゃあ、あと少しね。」と言ってほんの10mほど歩き、「さあ帰ろう。」と言うと今度は素直についてきます。

 帰ってきて家に入ろうとすると、「僕、入らない。」と一度は言います。どんなに寒い日でも毛皮を着ているのでへっちゃらです。
「姉ちゃんは家に入るよ。りくは入らないんだね。じゃあね。」
と庭につないで私は家に入ります。一人で静かに遊んでいたり、通る人や犬に声を掛けたりしているうちはいいのですが、わりとすぐ「家に入りたい。」と言って鳴きます。特に家の中から家人の話し声や笑い声が聞こえてくるともう一人ではいられないようです。やはり群れで暮らす種族なのです。

「だからさっき家に入るよって言ったでしょ。」
もう一度外へ行ってりくを抱き上げ足を洗って家に入れるのは面倒なので、私はいつもりくに文句を言うのですが、りくはどこ吹く風です。父がりくのおへそのあたりをグリグリしながら、「ここが曲がっている子がいますね。」と言うと、りくはお腹を見せてあおむけになり、すっかり甘えています。ため息・・・。