2013年1月15日火曜日
「フェミニズムってなあに?」
高校2年の時だったと思うのですが、市内各高校の仮装行列がありました。高校在学中には1度きりでしたから、その1回限りのものだったのか、3年に1度行われる催しだったのか判然としません。それは2年生の間では前もって話題に上ることはなく、唐突に当日を迎えた感じでした。
当時は、日常生活で女装した男を目にすることはほぼ皆無でしたので、近所の男子校の生徒がかぐや姫の仮装をしているのを見て本当に驚きました。
「明らかに女よりきれい、こんな美しい男が・・・」
というのが、一般の女子学生の感想でした。
我が校の生徒で参加していたのは上級生だけでした。家に帰って仮装行列の話を母にすると、
「ああ、それで・・・」
思い出し笑いをしながら話してくれたのは、美容院から制服で頭を桃割れに結った女学生が恥ずかしそうに出てきて、もう一人の友達と二人乗りで自転車をこいでいったという話でした。ハイカラさんの仮装です。
しかし、一番注目を引いたのは、赤い着物を着て下駄をはいた10人位のひとかたまりの集団でした。彼女たちの妖艶な姿もさることながら、びっくりしたのは先頭の制服姿の女子生徒がもつプラカードの文字、「売られた女の人権は?」でした。
「すごいね・・・」
「うん、三年生ってすごいね、・・・」と、友達と言い合ったのを覚えています。
私はこれまでフェミニストの言説に共感できたことが一度もないのですが、それはただ育った環境によるものでしょう。父は母にいつも減らず口をたたいてはいたものの、心底では母を崇拝しているのがありありと見てとれましたので、たとえ一銭も稼がなくても、我が家では母を頂点とする不動の家族内秩序がありました。
また通った高校は質実剛健を旨とする昔からの女学校で、女であることをあまり意識しない自立心旺盛な生徒が育っていました。おまけに私がついた職業は、おそらく日本で男女同権が最も徹底した古典的職業でしたから、そうでない社会の実情に触れる機会がほとんどなかったのです。
身勝手なようですが、それはそれでよかったと思っています。