2013年2月9日土曜日

「紅春13」


 まだ片耳の折れていた子犬の時分からりくはヘルベルトを知っています。1年後に会った時、りくは彼のことを覚えていて歓待していました。しかし、年に一度お正月を過ごしに来る彼をりくは違う群れ Rudel の人とみなしていたようです。

 「ほらね。」
客間にいた時、私は気づかなかったのですが、ヘルベルトがりくの繰り返す動作を指摘しました。
私を見る・・・、ドアを見る・・・
私を見る(「いっしょに」)・・・、ドアを見る(「茶の間に行こう」)・・・

茶の間はりくが一番落ち着ける場所です。りくにとって私は母親としての側面があるのだろうというのがヘルベルトの分析でした。この動作を延々繰り返されると、さすがに気が滅入ってきて、「ちょっと茶の間に行って来るね。」という」ことになります。

 散歩にもよく3人で出かけました。言われなければ気づかないほどの変化なのですが、私とヘルベルトがずっとおしゃべりしていると、りくが微妙に間に入ってこようとするのです。りくを蚊帳の外においていたつもりはないのですが、2人で話に熱中しているのがりくにはつまらなかったのかもしれません。りく、あれは・・・やきもちですか?