2013年5月24日金曜日

「腕時計」


 初めて腕時計をした日のことはよく覚えています。中学からバス通学となり時計が必要になったため母にもらったのですが、当時時計は貴重品でしたから、おさがりでもとてもうれしく思いました。以来、外出時にはいつも身に着けるようになったので、腕時計は私にとって内と外を分けるスイッチのような働きをしてしており、家に帰って時計をはずすとすっかり脱力するのが常です。

 日本発の正確なクォーツが作られてからというもの、物としての価値がこれほど凋落した貴重品も珍しいでしょう。今ではよほどのブランドでなければもう貴重品とは言えません。先日、電池切れなのか、時計が微妙に遅れるという時計としては一番困る状態になり、交通機関の利用に支障をきたしたので電池交換を考えました。しかし、そのサービスをしている店が近くにないのと、調べてみたら新品の時計の方が安いことがわかり考えてしまいました。2、3年前に電池交換をして気に入っていた時計で、新たに購入するのは確かにもったいない。だが、某米国通販サイトで探してみると眉唾ながら8割引きの衝撃価格、バックライト付きでしかもデザインが素敵(私はいつも男性用の大きな文字盤のものを愛用しています)。決め手は電池の寿命でした。なんと8年!・・・恐れ入りましたという感じです。時計は40年前の20分の1の価格で性能はずっとよいものが手にはいる時代になっていたのでした。なんともうら悲しくやるせない事実です。