2013年5月15日水曜日

「『おれは猫』ふうに」


 タンゴの曲調で、「おれは猫、猫、誰にも頼らず生きていく。誰にも頼らず・・・でもちょっとは頼る。」というペットフードのCMを見た時、あまりに絶妙なコピーなので思わず喝采しました。

 この歌に合わせてベランダの上を歩いて登場する猫は、ソファーに横になっているご主人のお腹の上に飛び降りて横切り、爪研ぎ用の板で爪を研いだり、ドーナツ型のクッションに頭を突っ込んだりします。猫なりに肩で風を切るような威勢の良さで、「誰にも頼らず」好き放題しているのです。本人は普通に生きているつもりでも、はたから見ると傍若無人で、人間もきっとこうなんだなあと思わされます。

 そこに一家の優しい奥さんがペットフードを用意してくれて、猫は一転、前言撤回。「でもちょっとは頼る」と言って遠慮なく食事をいただきます。これでいいんじゃないでしょうか。最初から全くの人頼みでは困りますが、誰にも頼らず生きていく気概はあってもいつもそううまくいかないのが世の常。一度「頼らない」と言ってしまったからと依怙地にならずに、ちょっとは頼ってもいいではないですか。周りの人も、「頼らないって言っただろう。」などと追いつめず、力になれることがあればやってあげればいいのです。お互い様なのですから。でもこの変わり身の早さが許されるには、やっぱりそれ相応の愛嬌が必要ですね。