ネットというところは思いもかけないことが起こる可能性があるので、本書の題名を書くことができません。この本はおよそ25年くらい前に、イスラム文化を背景に持ちながらヨーロッパ化した作家が書いた書物で、マホメットを冒涜しているという理由で、故アヤトラが本書の出版にかかわった人々に処刑宣告を出したことで有名な本です。現に翻訳した大学教授は殺されましたし(現場に日本では売られていない靴の足跡があったというニュースにぞっとした人も多かったはず。)、試した人の話によると、当時日本橋の大書店も災難が降りかかるのを恐れて原書の取り寄せを断ったそうです。その後の私の調査でも、本が持ち出せない図書館以外は組織的に処分されているのではないかと思えるほどお目にかかれなかった記憶があります。(神保町では時々見かけることがありましたから、手に入らないというわけでもなかったですが。)
ますます厳しさを増す現代社会はどこまで行くのだろうと思います。グローバルスタンダードとは即ちアメリカの価値観のことであり、これを受け入れることなしに近代化した国がない以上、イスラム世界も例外ではありません。西洋的価値観に席巻された後のイスラム世界は、大きな矛盾と葛藤を抱えたのであり、一言で言えばイスラムは傷ついているのです。この本は、あまりにも現実の本質を、従ってあまりにも痛いところをついてしまったのでした。著者には今でもボディガードがついているというし、だいたいヨーロッパ人の感覚では「あんな本書いて、いまだに生きているのが不思議だ。」ということらしいのです。後戻りしてこの世的に成功する可能性はないのですが、この世を捨てる気があれば、行き着く先はイスラム原理主義ということになります。もうどこへも行き場がないのです。
先日海外からのアクセスが増えたなと思ったら多くが中国からで、その日のブログは「日本とドイツ 言葉による安全保障」というタイトルでした。或る種の単語に反応するプログラムが組まれ情報を収集する組織があるのでしょう。ブログのお気楽な内容に拍子抜けしたことと思います。そういうわけで本のタイトルは書きませんでしたから、この本のことを書いたからと言って何もないと思いますが、もし私が非業の死をとげたらその線を当たってみてください。(冗談です。) ただ、ウィキペディアでこの本についてあたっていた時、突然画面が暗くなり、「お使いのコンピューターを保護するため Internet Explorer はこの Web ページを閉じました。」「正しく機能しないアドオンまたは悪意のあるアドオンが存在するため、Internet Explorer はこの Web ページを閉じました。」という表示が出たのです。やっぱりなんかあるんだぁ。