2013年9月28日土曜日

「紅春 35」


 帰省したら父がいなかったので、変だなとは思ったのです。りくが大喜びで迎えてくれましたが、こちらもいつもとちょっと違う感じ。なんだかびっくりして戸惑っているようでした。

 理由がわかったのは一週間ほどして、来月の予定を壁に掛かったカレンダーに書き込もうとした時でした。いつも父にわかるように、到着日と出発日を赤ペンで書いておいたのですが、今月のカレンダーは真っ白でした。書き忘れたのです。何日か前に電話でも知らせておいたのですが、父は耳が遠くて伝わっていなかったようです。
「カレンダーに書き込むの忘れてた。」
と言うと、父が
「そうだよ。だから、りくには、『今月は姉ちゃん来れないんだよ。』と言い聞かせておいた。」と。

 それでか・・・。だから玄関を開けた時、りくはふいを突かれていつもと対応がちがったのです。いつもは私が帰る日の3日前から、父はりくに
「いい子にしてたら、姉ちゃん帰ってくるかもしれないよ。」
と話し、当日は玄関にスリッパを出しておくので、りくは私の帰宅を確信し、期待でいっぱいになって待っているのです。うっかりしてたな、りくも調子が狂ったろうね。