2013年12月6日金曜日

「いい人と憎まれっ子」


 「いい人ほど早死にする」と、その裏返しの「憎まれっ子世にはばかる」は、ある程度論理的に説明がつくのではないでしょうか。いい人は自分のなすべきことを知り、他人を自分のように考える人ですから、津波が迫っていても防災センターから最後まで避難を呼びかけるアナウンスを続けたり、線路で倒れているお年寄りを見過ごすことができなかったりするのです。

 憎まれっ子というのは、そばにいると実害が及びますが、その可愛げのある呼び名からして悪い人ではなく、言ってみれば愛すべき人です。ただ、なぜ憎まれるかといえば、世の中自分が中心という態度で世渡りするからです。他人を思いやる前に「まず自分」なのでストレスは無し、長生きするはずです。大方の人はこの中間に位置しています。自分のことと他人のことをどのくらいのバランスで考えているかが一つの指標になるかもしれません。

 以前、一日20分隣の席の同僚の愚痴を聞いていたことがありました。反対隣の同僚はその様子を見て、私に「よく黙って聞いているな」と言っていました。話してしまうと気が済むのか、その方はいたって元気に過ごしておられました。私はただ聞き流していただけのはずなのですが、ご想像の通り、軽く自律神経失調の症状を呈し、その時は気がつかなかったのですが、ずいぶん経って「そう言えば・・・」と思い当たったのでした。いい人ぶるのではありませんが、愚痴を言って発散できるのも性分なら、黙って聞いてしまうのも性分なのですから、こういうのは直せるものではないですねえ。