2013年11月8日金曜日
「ヨーロッパの駅舎にて」
「列車はどっちから来るのかな。」
イタリアを旅していた時、ホームでヘルベルトが言いました。駅名は忘れましたが、そこは両側に線路があるタイプのプラットホームでした。
「案内板がないから左から来るのか右から来るのかわからないね。」
と私が言うと、彼は
「いや、左から来るのはわかってるけど、どっちの方角からかな。」と。
おかしなことを言うなあ・・・。
「左から来るとは限らないでしょ。ほら・・・」
その時たまたま右手からホームに入ってくる列車を私が指さした時のヘルベルトの驚愕した顔を忘れません。
その後話してわかったのは、ヘルベルトによれば、ドイツでは列車は必ず左から入って来るということでした。気をつけて観察したことがなかったので、「そうかなあ、いつもそうとは限らないのでは。」と私は思いましたが、原則としてそう決まっているのでしょう。
イタリアでは日本と同じく、列車はどちらからでも入ってくるようでした。その方がずっと融通が利くと思います。ただ原則が決まっているのはわかりやすい点もあります。ロンドンだったかフランクフルトだったか、
「何処何処行きの列車は何番線から出ますか。」
と尋ねて、駅員が
「まだ決まっていません。」
と答えた時は唖然としました。大枠は決まっているのですが、長距離などで遅れが出たりすると、空いているホームにその都度引き込むようになっていて、ホーム自体に行先を示す固定した表示板はないようです。ちょっとしたことですが、身近なことで固定観念を突き崩されるのはやはり動揺するものです。