2013年11月4日月曜日

「驚かない時代」


 現代は何でもありの時代です。電線をネズミがかじって停電になっても当たりまえ、水平でないタンクに水を入れて中身が漏れても当たりまえ、たとえそれが原子力発電所であろうと。
「ちゃんとしてくれなきゃ困るよね。」
と言いながら、原発推進の姿勢は堅持、国土全部が滅亡するまでは「安全」です。奇怪なことが起こっていても、もう驚きません。

 カフカの『変身』ですごいと思うのは、主人公が異形のものになっても本人があまり驚いていないことです。戸惑ってはいるのですが、普段の生活のこまごまとした事柄を煩い、「面倒なことになっちゃったなあ。」という雰囲気を漂わせている姿にこそまさに現代人であることが喝破されています。周囲は最初驚いておたおたするのですが、人間はどのようなことにも慣れてしまいます。彼に対する関心は失われ、主人公が死んだあと何事もなかったかのように日々の生活は続いていくのです。