2013年11月25日月曜日

「紅春 39」


 人間に利き手があるように犬にも利き前足があります。りくは前足を交差して寝そべっている時、必ず左手を上にしています。人が指を組むときどちらの親指が上にくるか決まっているのと同じです。これに気づいたのは父で、りくの姿を声に出して描写していたら、いつも「左手、前」だったのです。

 東京に帰る日、兄に駅まで送ってもらう前に車の窓を開けてりくに別れの挨拶をするのですが、このとき父にだっこされたりくが出すのは決まって右前足です。犬も時と場合によって使う足が決まっているようです。私はそんなことを考えてもみなかったのですが、いつも一緒にいるだけあってさすがに父の観察は鋭い。