2013年11月14日木曜日

「国家安全文化度の測定法」


 文化が高いとはどういうことかという問題は難しすぎるので、「国が落ち着いていて文化的に見える」指標として思いついたことがあります。通常、図書館、美術館、博物館等の数というのは文化度を測るのによく使われる指標ですが、箱モノの数だけならあまりあてになりません。催される美術展の数や来館者の数というのはそれより正確な指標になるでしょう。しかし、もっと精度が高いと思うのは、「他国から貸し出される美術品の数」ではないでしょうか。

 美術館は自ら所蔵する美術品の扱いに不安があれば絶対に貸し出しはしません。政情不安で何が起こるかわからない国に大切な絵画を貸し出す美術館はないでしょう。それだけでなく、運搬や展示に技術的な不安があっても、鑑賞する人々に美術品への関心や敬意があるか自信がもてなくても、それにもちろん興業的な成功を期待できるかが疑問でも計画は頓挫するでしょう。

 他国からの絵画の貸出件数といった統計があるのかどうか知りませんが、おそらくこの点では日本は随一ではないかと思います。展覧会の絵画は近づいてじっくり見ることができないので、私はこのところよほどのことがないと行かなくなってしまいましたが、気が付くと、
「あ、この絵が来ていたのか。」
「あ、この絵も来日していたのか、いつまでだろう。」
ということがよくあります。

 フェルメールの絵画などはここ数年毎年のように来日しているようですし、何点かまとめて「フェルメール展」を開くなどというのは、他国では(おそらくヨーロッパでさえ)考えられない企画です。海外の美術館を訪れて、改装中ならいざ知らず、名画が貸し出し中のため見られないのはいまいましく落胆する出来事ですが、そのリスクを省みずフェルメールの絵画が集められ展示されたのですから、日本にとっては大変名誉なことと言えるでしょう。