2013年8月2日金曜日

「にわか事業家」


 いろいろな品物の考案に凝りだしたのは、考えること自体が楽しいからですが、もう一つ無意識的な理由があったように思います。それはいよいよ福島教会の会堂建築が始まるので、そのための献金をしたいということです。齢85の父が老体にむち打って山形まで山菜を採りに行き、教会で細々と売って(「額は問題じゃない」と常々言っています。)会堂建築献金にしているのに、私が何もしないわけにはいきません。

 さて、ブロッコリーに対応できる野菜調理器具の考案です。葉物野菜(ほうれん草や小松菜など)とブロッコリーの調理方法の違いを考えるにあたって注意すべきは主に2点です。一つ目は茎の長さの違い、二つ目は水切り方法の違い(葉物野菜はしぼる、ブロッコリーは振る)です。この点に注意しながら、なべ用の調理器具を考えていましたがうまくいかず、そのうち誰もが気づくように、「ブロッコリーなら電子レンジで十分うまく調理できる」ということに思い至りました。私自身は電子レンジでの調理法に疎かったので思いつかなかったのです。しかし、この路線ならすでにシリコンスチーマーがあるので、「なあんだ」と終わりかけました。

 でも、市販のものを市場調査に行ったところ、大きさや値段、形状の点で工夫の余地があることがわかり、再び考え始めました。まず気になったのはふたです。本体自体もフニャフニャなのに、さらに別にあるふたは、私のような人はすぐどこかへやってしまいそうだなと思ったのです。ふたが一体型になっているものもありますが、重たそう、洗いにくそう、高価という印象でした。そこで開発品ができました。ふたなしのシリコンスチーマーです。もう一回り大きいのができればよかったのですが、手に入る材料はこれだけですし、デザインが生きるのはこのサイズだなとも思いました。使い勝手もとてもよいと自分では思います。

 こちらは今あるシリコンスチーマーの形状を変えただけなので、とても特許性はありません。でも今までなかった形状なので実用新案をとってみようと思いました。書類の書き方は特許申請とほぼ同じ、図面描きに手間取りましたがなんとかできて、再び特許庁へ行って出願しました。実用新案は特許と違い審査がないので比較的早く認められるようです。

 この製品を福島教会の方々や友達、知り合いに使っていただきましたが、評判は上々でした。しかしどうやって商品化すればいいのかわからなかったので、まず教会のバザーに出品。東京で出席している教会では、会堂建築献金ということもあってずいぶん買っていただきました。このように、各地の教会のバザーで扱ってもらえるかの検討をお願いし、バザーで販売する方向が一つありますが、もう一つ思ったのが「これはネット通販にうってつけではないか」ということです。しかし、教会は収益をあげてはいけないのでこれは別に事業化することにしました。不特定多数の方々を相手にするのは多少不安もありますが、ほぼ福島教会のホームページからしか入れないようにしておけばあまり問題も起きないでしょう。

 というわけで、にわか発明家転じてにわか事業者となり、事業所を立ち上げ(といっても、名前を付けて名刺を作るだけなので、これはとっても簡単でした。「光あれ」と同じで命名するだけでよいのです。)、ホームページを作ったり、郵便局に口座を新設したり、税務署に開業届を出したりと、今度はにわか個人事業者として多忙な日々となりました。商売などやったことがないので、経費の計算や確定申告などできるかどうか心配ですが、きっとなんとかなるでしょう。ささやかですが、楽しみながら(と言うのも変ですが、)会堂建築献金をささげられたらいいなと思っています。製品について興味のある方は次のサイトをご覧ください。