2016年4月30日土曜日

「あんしん居住制度」

 人間の寿命は本人にはあずかり知らないものですが、ずっと心の重荷になっていたのは死んだ後の葬りと生前の居住空間の処理についてです。以前、やはり子供がいない友人とこの話になった時、「葬儀はいらない」および「死後何日も発見されないのは困る」という2点が一致した点でした。団塊の世代から後は高齢者施設に入れずあぶれる人が東京だけでも100万人とも言われているし、そうでなくても集団生活が無理な私には施設暮らしは耐えられそうにありません。この時は見つからなかった解決方法を先日叔母から教えていただきました。

 それは東京都の外郭団体がやっている「あんしん居住制度」です。東京に住んでいることが条件なのですが、「見守り」、「葬儀」(葬式ではなくご遺体の火葬を指す用語)、「残存家財の片づけ」の中から契約(複数可)を結んでおくと、それぞれ安否の確認や緊急通報、なくなった場合のご遺体の搬送と火葬の実施、居住空間の家財の片づけをしてくれるというサービスです。これぞまさしく私が望んでいた解決でした。他の都道府県でもすでにあるかこれから整備されるか、いずれにしても必ず必要になる制度なのは確かでしょう。なかば公的な団体が行っているので安心ですし、何歳からでも契約できるというので、さっそく「見守り」以外の契約を済ませました。見守りは必要を感じたら契約に加えればよいし、友人同士でもある程度見守りし合えるだろうと思います。5年ごとに更新手数料はかかりますが、安心料と思えば安いものです。これで死ぬまで好きなものに囲まれた住まいで暮らせると思うと、逆説的ですが、安心してあと20年は生きられそうです。しかし、普通に歩いていても車が突っ込んできていつ死ぬかわからない時代です。離れたところに住んでいる兄になるべく迷惑をかけないようにできると思うとほっとします。唯一心配があるとすれば、必ず兄より先に死ななければということだけです。