2016年4月11日月曜日

「人格詐称」

 このところ、芸能人やスポーツ選手がプライバシーを暴かれて、公衆の面前で謝罪する場面を目にすることが異常に多いように思います。政治家を含めこのような方々は一般人とは違いますが、記者会見をひらいて国中に放映されるというのがこう続くと、うんざりしてしまいます。誰の目にも明らかなのは「叩いて埃が出ない人はいない」ということでしょう。「義人はいない。一人もいない。」という真実を踏まえて、記者はスキャンダルを追うのでしょうし、世間の人も飽きるに任せて次の話題を暇つぶしの種にするのでしょう。

 ヴァーチャルな世界と現実の境がわからなくなってしまっているかのような病的な人格詐称が見受けられるのが近年の傾向でしょうか。とはいえ、あのゴーストライター事件を越えるものはありませんが、自分を大きく見せたい、よく見せたいという人がそんなに多いのか。最初のハードルを越えるとどんどん自分を糊塗していくのが楽しいのかも知れませんが、仮面を脱ぐことができないとわかって怖くなかったでしょうか。何より疲れるだろうなと思うのですが。

 だからといって、人のプライバシーを次々と暴いて血祭りに挙げるというのはどうなのか。その攻撃は短期集中型で、その人の一生を完全に破壊するに足るほどのものです。ヴァーチャルな幻影がただの生身の身体になり、もう見向きもされません。ご本人は生活は大変になったかもしれませんが、案外ほっとしているなんてことないでしょうか。