2015年11月12日木曜日

「紅春 74」

私が東京にいる間にりくは少しずつ二階への階段の上り降りに慣れてきたようです。特に今まで自分でできなかった降りがゆっくりですができるようになりました。元々土手の急な階段を降りられていたのですからできないはずはなかったのです。ただ、この階段が途中から向こう側の見えるスリット式の階段なので恐いのかもしれません。これでまずは安心ですが、やはり長時間家を空けるときは二階に行かないよう上り口の柵を閉めて出かけます。

 先日半日ほど出かけて帰宅しましたが、りくが出てこないし声もしないのでちょっとぎょっとしました。二階への柵は閉まっているから階下にいるはず。りくの名前を呼びながら家中探しましたが出てこない。どこかでひっくり返っているのではないかと青くなりました。
「りく~。」
大声で呼ぶと二階でコトッと音がし、りくが何事もなかったかのように降りてきました。柵を越えたのか?助走をつければできるだろうが階段前にそんなスペースはない。その日、帰宅した兄に話すと、「欄干のすきまから入ったのだろう。」とのこと。ともかくそこに厚紙を張って入れないようにしました。

 この柵に関しては他にも兄に聞いたエピソードがあります。夜中にガタッと音がして降りてみると柵が取れて下に落ちていた。りくが茶の間から首を出してこちらを見ていたので、「大きな音してごめんな。」と言ってとりあえずまた寝た。しかし考えてみると、石膏ボードとはいえ3本のネジ鋲で留めてある蝶つがいが自然落下するはずがない。りくが乗り越えようとして体重をかけた可能性が高いだろう・・・。とすると、柵が落ちて驚いたりくは急いで茶の間に舞い戻り、兄が降りてきたときには何食わぬ顔で様子をうかがっていたということになります。まったくりくときたら・・・。まあ無事でよかったけど。