2021年4月2日金曜日

「紅春 175」


  春が来て、4月にすぐやってくるのが狂犬病の予防接種です。昨年は新型コロナウイルスのため、日程表による集会所ごとの注射はなくなりましたが、今年はどうなるのでしょう。またりくは、6月には毎年の定期健診、フィラリア検査、混合ワクチン接種などを行ってきましたが、これらをどうするかで兄と話し合いました。ここしばらくウイルスやワクチンのことを調べていたので、私の考えは固まっていました。

「りくも14歳だし、可哀想だからもうワクチン接種はしなくていいんじゃない?」

これまでよかれと思って受けさせてきましたが、ワクチンの危険性を知った今となっては受けさせたくない。りくが1歳前の最初の接種では、「家に帰ってきて具合が悪くなり、吐いていた」と父が言っていたのを思い出しました。その後成犬になってからも、予防接種のあとはたびたび体調悪そうにして寝ていました。化学物質に対して生物は哀れなほど脆弱です。特にワクチンを混合して一度に打つのは負担が大きすぎます。もうご老体なので昨年は注射のあと針跡から出血して、再び診察室に戻されました。可哀そうなことをしました。

「そうだな、もういいな。外犬ならともかく、りくはずっと家の中にいるから」

兄も賛成です。

「狂犬病はどうする? 狂犬病もやめる?」

これは少し悩みます。

「前に野生のハクビシンを見たって言ってなかった?」

「この5年は見てない」

日本ではもう狂犬病の予防接種もホントはいらないと思うのですが、万々一外から持ち込まれたウイルスが無いとは言えない。もし野生の動物に感染していたら、時々外に置いているりくも危ないだろう。なにせ、最近は外にいる時も全く無防備状態でぼーっとしているので、身を守るすべがない。

「一応、狂犬病予防法で義務付けられてるし、万一感染した野生動物がいたら大変だから、これだけは受けさせよう。でも、集会所まで歩いて行って、注射して歩いて帰るのは、もうりくには無理だと思う。定期健診の時、獣医さんでやってもらおう」

 こうして、今年度の方針が決まりました。これで少しはりくの体も楽になるでしょう。りくはこちらの談合内容を知らずにすやすや寝ています。