2014年に誕生したパリ初めての女性市長イダルゴ氏が今年訪日したことが話題になりましたが、もっと驚いたのは「安全にパリ観光を」と観光PRを日本語でツイートしていたというニュースでした。自身の公式アカウントで観光客の回復を狙ったPRは2月中旬から見られるようになったとのこと、JALパックで大挙してパリに出かけ、ヴィトンやエルメスを買い漁って店員のねたみと顰蹙を買っていた往時を思い出すと、本当に隔世の感があります。2015年11月の同時多発テロ以降は、パリだけでなくモンサンミシェルなどの観光地も閑古鳥が鳴き、閉店に追い込まれたレストランもあるとか。日本人が行かなくなったからだけでもないでしょうが、わざわざ日本語でツイートするくらいだから相当なダメージではあるのでしょう。
先日、日本は「ジタバタせずにおとなしく3割くらい縮むしかないと思う」と書きましたが、やはり3割も縮むにはどうしたって静かに縮むのは無理だろうと思うようになりました。日本人は世界中どこにでも行っていたので、観光客の減少という形で世界に与える影響はあるでしょうが、一番影響があるのはもちろん日本国内です。今でさえ、高齢者の増加で介護医療問題が噴出しており、これと連動して若い方々の生活苦も明らかになってきました。東京育ちの友人が福島弁が出てくると面白がって教えてくれたドラマを見たら、もう本当に驚きでした。バブル時代のドラマの華やぎが全くない。社会のどちらかというと底辺で働いてつましい生活をしている若者が、様々なことが起こるなか、それでも真っ直ぐに生きたいと支え合っている姿に胸を突かれる思いでした。若者にありがちな浮ついてはしゃいだ空気が鳴りを潜め、過酷な現実を受け止め生きていこうとする姿に、3割縮むというのはこんなにつらいことなのだとはっきり知らされました。
こういう若者を応援できればいいのですが、年配者は年配者で大変なことがあります。たとえ経済的な不安がなくても身近な人や友人、知人がどんどん亡くなっていくのですから、気の滅入る現状です。今現在でもこんな状態ですから、今後どんな社会になるのか全く想像がつきません。社会全体が沸き立つような楽しい時代はもう来ないだろうということだけが確かなのです。