私の子供時代はとにかくプロ野球の時代でした。相撲はあったもののそれほどの人気ではなく、サッカーJリーグもなかったのでプロ野球の独壇場でした。大人も子供も男は野球の話ができなくては人にあらずといった状況で、女子は同じ試合を毎日見て何が面白いのだろうといつも思っていたはずです。試合を見て薀蓄を垂れながらだらだらしていたら他のことは何もできない。実際2時間以上試合を観戦する代わりに、「プロ野球ニュースで済ます。これなら45分で済むから。」と言っていた人もいたほどです。
女子のスポーツと言えば、まずバレーボール、少し遅れてテニス、他には思いつきません。「アタックNo.1」「サインはV」「エースをねらえ!」は当時多大な影響を与えた漫画およびテレビ番組です。バレーもテニスも私が集中して観戦できる数少ないスポーツですが、チームプレーの分だけバレーの方が見ごたえがあります。4年に一度なので毎回新鮮な気持ちで見られるのもとてもよいです。この時ばかりはプロ野球ファンの気持ちがわかる。同じ人が出ていても決して同じ試合ではない。ファン心理というのは理屈ではないのです。でもこれが毎年あったのではやはり他のことが手につかないだろうから、これくらいでいいと思っています。
女子はロンドンオリンピックで銅メダルに返り咲き久々の快挙でしたが、このところ男子バレーは特に低迷していてもうバレーなどする子はいないのではないかと思っておりました。ところがとんでもなかったのです。日本の男子バレー史上最高の逸材と評される選手(まだ19歳、ついこの間まで高校生といった感じ)やバレー歴7年目という選手(普通これでワールドカップレベルになるものだろうか)、慶応から社会人に入ったプリンスも出てきて実に多彩、最終戦まで十一戦も闘う体力はあるのかとの懸念も払拭する出来で、今後に向けて希望のもてるものでした。ただ外国人と比べるとやはり体格、特に骨格がまるで違う。身長差もさることながら「こんなに華奢ではボールを受けた時コートに叩きつけられるのでは。」と心配なほど体が細い。体格は変わらないのでこの差を何かで埋めるには、速さやうまさ、粘りや狡猾さも磨かなければならないでしょう。しかし、自分たちよりはるかに実力が上のチームにもひるまず向かっていく気力が前面に出ていたので、試合ごとに観客が増していく盛り上がりを見せたのは当然のことでした。何であれ若い人が鍛錬し、一生懸命物事に取り組んでいるのを見るのは本当にうれしいものです。でも1か月間集中して観戦したのでやっぱり疲れたな。