2015年9月11日金曜日

「紅春 71」

 りくの発作が起きてから初めて福島に帰る時が来ました。ドキドキでした。扉を開けた瞬間、フラッシュバックが起きて大変なことになったらどうしようと頭の中で考えていました。普段は家に近づくと侵入者を察知してワンワンが始まるのですが、この日は扉を開けるまで何の音沙汰もなかったのでやはりまだ治っていないのかと不安でした。しかし扉を開けて少しするとりくがとことこやってきていつもの挨拶をしました。「姉ちゃんお帰り。どこ行ってたの、ワンワン」と。私の足音が降り続く雨にかき消されて聞こえなかったようでした。

 それから、りく最優先で様子を見ながら、遊ばせたり寝かせたりしましたが、すっかり元のりくに戻っているようでほっとしました。「ゆうれい手っこ」(うらめしやのポーズ)で「お腹をなでて」というのも前と同じです。一番心配だった散歩は、「行きたい」といった時に雨でも行きましたが(大雨の時は本人が行きたがらないので小雨の中です。)、なるべく行きたいように行かせ、あまり歩くと足に疲労が出るかと短めにしました。引き返す時ちょっとドキドキ、前にちょっと綱を引いたらパニックを起こしたから。でももう大丈夫。本当によかったです。あの時、頭の中の恐怖回路が確立してしまっていたら、一生治らない危ないところでした。兄が極力いつもの生活に戻して過ごしてくれていたおかげで治ったのだと思います。兄には本当に感謝です。