先日、大学時代の同級生から、母校で安保法案緊急抗議集会があるので、さしつかえなければ賛同署名とメッセージを送ってもらえないかという旨のメールが来ました。ネットでこの企画を開いたところ、呼びかけ人の名前からすると学生・教員合同の実行委員会のようで、OBやOGにも参加を呼び掛けていました。集会自体はもう終わっていたのですがそれでもよいとのことでブログに書いていることを簡単にまとめて送りました。前に書いたことがほとんどですが再録します。ちなみに署名・メッセージを送った人は、7月13日18:00現在631人になっています。
安保法案、これほどはっきり戦争がしたいという表明も珍しい。このところ安保法制の審議があるので見るともなしに国会中継を見ていたが、現政権下で行われていることはあまりにもひどい。1つだけあげると、いつのまにか無断で英語版から ”on Japan” をはずし、武力攻撃を受ける対象を日本だけではなくしている、という指摘があり(太田和美 維新 6月26日国会質問)、英語版だけ読む限り、もうすでに世界中どこでもアメリカの関わる戦争に巻き込まれることになっているようである。国会中継が見られるうちはまだいい。5月末に集団的自衛権の行使容認などを含む安全保障関連法案の国会審議が開始された時には、この審議をNHKが中継していなかった。それまで中継してきた重要な法案の国会審議をNHKが流さなかったのは異例の事態で、ここまで状況は切羽詰まっている。
7月7日の自民党のネット番組「集団的自衛権って何?アメリカの言いなりに戦争するの?」で、安倍首相の解説に守るべきお友達として出てきた「アソウさん」は、「ナチスの手口に学んだらどうかね。」と言って問題になった財務大臣であり、もう一人のお友達「スガさん」は、憲法学者が三人とも安保法案を違憲であると述べておおもめにもめた時、「違憲かどうかを決めるのは学者ではない。最高裁判所だ」と言った人である。しかもその時持ち出したのが、最高裁が高度に政治的な問題として判断を停止した砂川判決。最高裁が安保法案を合憲と言うなら、もう遅いかもしれないが、次の総選挙の国民審査で全員罷免するしかないのではないか。
首相はこの法案を打ち出した時、「米国の戦争に巻き込まれるという不安を持っている方もいるかもしれない。そのようなことは絶対ない。」と述べた。法案が通りさえすれば手段を択ばないのは東京オリンピック招致の時と同じである。「汚染水は福島第一原発の0.3平方キロメートルの港湾内に完全にブロックされている。」、「(福島第一原発の)状況はコントロールされている。」と、国民が誰ひとり信じていないことを全世界に向けて発信しものにしたのが、成功体験として残ったのであろう。
They more readily fall victims to the big lie than the small lie, since they themselves often tell small lies in little matters but would be ashamed to resort to large-scale falsehoods. (Hitler A 「Mein Kampf」(James Murphy訳))
「彼ら(大衆)は小さな嘘よりも大きな嘘の犠牲者になりやすい。なぜなら彼らは、しばしば些細なことで小さな嘘をつくが、大がかりな欺瞞に頼ることを潔しとしないからだ。」 (「わが闘争」 (1925)
安保法案に関連する内閣総理大臣安倍晋三の発言は、アメリカと密約しながら「非核三原則」を声高に唱えてノーベル賞までもらった政治家で大叔父の佐藤栄作と同じレベルの大嘘である。
率直に言って、この法案の今国会での成立を阻止するのは難しいかもしれない。しかし重要なのはあきらめないことだ。まだ打つ手はあるだろうし、不幸にして法案が通ってしまったとしてもそれで終わりではない。かつて人が手にしていなかったネットというツールは大きな力になるかもしれない。私自身ITに疎く、このような緊急企画があったことを知らず遅れてしまったが、最後に昔駒場の立て看にも書かれていたというヤセンスキーの「無関心な人々の共謀」の一節と、1937の年頭の新聞に野上弥生子が書いた分を紹介してメッセージとします。
「敵を恐れることはない……敵はせいぜいきみを殺すだけだ。
友を恐れることはない……友はせいぜいきみを裏切るだけだ。
無関心な人びとを恐れよ……かれらは殺しも裏切りもしない。
だが、無関心な人びとの沈黙の同意があればこそ、
地上には裏切りと殺戮が存在するのだ。」
「…たったひとつお願い事をしたい。今年は豊年でございましょうか。凶作でございましょうか。いいえ、どちらでもよろしゅうございます。洪水があっても、大地震があっても、暴風雨があっても、…コレラとペストがいっしょにはやっても、よろしゅうございます。どうか戦争だけはございませんように」