私は音楽や映画にはめっぽう疎い。iPodなどを手放せない人は多いようですし、よく宣伝している有料多チャンネル放送を利用している方もいるでしょう。しかし私はそのようなものが無くなっても全く困らない人間です。今までずっとそうだったと思っていたのですが、若いころのごく短い期間、映画にはまっていた時期があったことを最近ふと思い出しました。
おそらく30年ほど前のこと、何をとち狂ってしまったのか確か年に百本近く映画を、レンタルではなく映画館で見ていた時期がありました。ハリウッド映画は娯楽的側面が強くそれはそれで気晴らしにはなったのですが、イギリス映画が急に流行った時期があったと記憶しています。映画史的にブリティッシュ・フィルムズの時代というものがあったのかどうか知りませんが、私の中では間違いなくそういう時代がありました。たぶん全部が全部イギリス資本の映画ではなかったのだろうし、また監督も英国人ばかりではなかったのかもしれません。ただひたすら、美しい英国の風景の中で、こちらは間違いなく英国生まれ英国育ちのただひたすら美しい俳優さん、女優さんを描くという映画だった・・・。あれは何だったんだろう。ああ、懐かしいなあ。
あのマイ・ブームはたぶん2年と続かず、すうっと潮が引くように終わったんだっけ。あの頃の映画に出演していた面々は今どうしておられるのでしょう。イギリスの俳優さんといえども積み重なっていく年齢が無残な痕跡を残さない方は少ないだろうと思うと、現在の姿は知りたくない気もします。サー・ジョン・ギールグッドとかデンホルム・エリオットとかイアン・ホルムとか、どこから見ても英国でしか存在しえない生え抜きの方々は、その点では稀有な俳優さんなのでしょうね。