2015年5月28日木曜日

「二人の少年」 

 私が帰省する時、高速バスを待つ間いつも立ち寄るファミレスに必ずいる高校生がいます。いなかったことがありませんから毎日来ているのだと思います。きっと開店と同時に来店し朝食をとり登校時間までそこで過ごすのです。私が見かける時、彼はいつも壁に寄りかかり眠っています。スマホをいじっているとかテスト勉強をしているとかいうことは一度もなく、いるかいないかわからないようにひっそりと眠っているのです。その時間を睡眠時間と決めていて、あとの時間は活発に活動しているという可能性がないとは言いませんが、ちょっと想像できません。

 もう一人は先日ドローンの事件に関連して逮捕された15歳の少年です。「動画配信業」と名乗っていたのは冗談かと思ったら、本当にそれでお金を稼いでおり支援金も受けられるシステムを利用していたのです。そのためになんでもかんでも(家族との言い争いまでも)中継配信していたようで、自ら配信した警察官とのやり取りにより墓穴を掘ったようにも思えます。ドローンを取り上げられて「返して下さい。それは任意ですか、強制ですか。」と警官に問いただしていたのは、ドローンを直接取り締まる法律がまだない以上、手を出せるはずがないことを知っていたからでしょう。結局しばらくして見せしめのような形で逮捕となりましたが、あれは、「注意も聞かずここまでされたんじゃ、逮捕もやむなし。」という一般的見方を醸成したように感じます。

 最初の高校生の方は、学校に行っている限り一応の要求は満たされる状況にあるのでしょうが、本人の希望かどうかはともかく、毎日ファミレスで朝食ということ自体が或る意味絶望的な状況ではないでしょうか。社会で毎日起こることはろくでもないことばかりで目覚めたくない気持ちはわかりますし、現状にも未来にも希望がもてないのだろうと思います。それでも地球規模で見ればこの国はまだましな方なのだという事実にさらに重いためいきをつかざるを得ないのです。一瞬一瞬を動画として垂れ流すのも眠り続けるのも同じことかもしれません。