2017年7月3日月曜日

「捨てられない物」

 物に対する執着が薄くいらないものは大胆に処分できるたちですが、なかなか捨てられない物もあります。ちょっと古ぼけてはいるが十分機能は果たせるものや長年使って愛着のあるものが時折クローゼットの中から出てきます。この機会に何とかするかと思うもののそのままでは使えないので、ふと布製品は染め直してみようと思いました。真っ先に試したのは大型のトートバッグです。すっかり色あせ何年も日の目を見ていませんでしたが、十年前には仕事用具をすべて詰め込んでほぼこれだけを使っていたなあ、と。パンダマークのWWFの製品で作りがしっかりしており、持ち手の長さも金属の留め具部分もとても気に入っていたのです。

 布製品の染色といえば、やはり英国のD社、とりあえず一番近い色を選んで購入しました。元々の色は段ボールのような色なのですが、ベージュでは薄く茶色では濃い気がしたのでゴールドを試すことにしました。使用法に書いてある通り、お湯で溶き、塩水を加え(驚いたのは6リットルのお湯に対し塩が250gも必要なこと!)、かき混ぜながら15分、そのまま45分、あとは十回くらいすすいで脱水、乾燥させるだけです。途中でアイロンをかけて形を整えて干しました。

 結果は、新品のようにとはいきませんが、かなりパリッとした感じに生まれ変わり、まあ満足な仕上がりです。捨てずに済んでよかった。あとひと頑張りしてくれそうです。他にも帽子や衣類を別な色で試しましたが、もともとの色に似た色をのせるような感じで染め直すなら、かなりよくなるということがわかりました。ポリエステルやアクリル、ナイロンは染められないので残念です。難点があるとしたら、すすぎに大量の水を使うことで、これは排水溝に流すしかないから水質汚染になるだろうな。

 それにしても捨ててしまえば楽なのに捨てられないのはなぜでしょう。普段使いの衣類や身の回り品なら当たり前ですが身の丈に合っているということ、それゆえどうしてもそればかり選んで使い長い時間を共有してしまったこと、ゴミ箱に捨てるという安易な手間に比して、その中に消えてゆく記憶の容量があまりにも大きいこと、こういったことがその行動にブレーキをかけさせるのでしょうか。テレビはすぐに捨てられたんですがね。