2016年8月8日月曜日

「現実に架橋するゲーム」

 先日、友人と会う機会があって都バスの旅をしました。9時集合でしたが、聞けば朝6時半に家を出たとのこと。普通に電車で来れば待ち合わせ場所まで20分もかからないはず。友人は「途中まで歩いて一駅だけ電車に乗った。」とうれしそうに言いました。ポケモンgoをしながらきたのです。
「何匹捕まえたの。」
と訊くと、配信された直後の土・日で25キロ歩いて250匹とのこと、いや~驚きました。25キロを嬉々として歩けるのですから、人間の意欲と言うのは本当にすごいものです。

 スマホの画面を見ながら、近くにいるモンスターにボールを投げて捕獲するというのが一般的なルールのようですが、ボールがなくなったらポケストップで手に入れられるとか、新宿御苑にはピカチュウがいるとか、アジアにしかいないモンスターもいるとかいろいろ工夫されています。都バスの中でもできるので歩かずしてモンスターと遭遇でき、「これは楽だ。」と友人は言っていました。しかし卵を孵化させるには5キロ歩かなければならないらしく、孵化の瞬間を見せてもらったら確かにとても可愛くて、元々ポケモンに愛着を感じている人ならぜひやってみたくなるのも納得です。

 それを如実に表しているのはひきこもりだった方々かもしれません。ひきこもるという状態はそもそも外界(特に人間社会)と接触したくないことに端を発しているのですが、本当は外に出たいと思っている場合、「とりあえず楽しく一人でできて、みんなと同じ状態で外に出られる」というこのコンセプトに乗らない手はありません。このキャラクターが好きでどうしてもやってみたい気持ちがひきこもりたい気持ちに勝り、「やってみて楽しかった」と思えるなら次につながる展開もあるでしょう。これ以外にひきこもりの方々を引っ張り出す方法はなかなか思いつきません。この手のヴァーチャルゲームで私が最後にやったのはたまごっちでした。母にもあげたら真剣に世話してましたね。でもあれは家の中でもできるものでしたから、ヴァーチャルな世界と現実の世界を結び付けたという点でこのゲームは画期的だったと言えるでしょう。あとはとにかく事故に注意、なにしろ歩きスマホが基本のゲームですから。友人は「大人として課金はしない。」とも言っていました。凄惨な事件があった頃だっただけにちょっと平和な話題でほっとしました。少なくとも夏休みの間はこのゲームは流行るでしょう。努力してモンスターをコツコツ集めていくのは、一種の昆虫採集のようなものかもしれません。