「海外に出てゆっくりしたいね。」
「それしかないよね。」
ほうっー、今は海外の方がゆっくり研究(もしくは仕事)できる環境なのかと驚いていると、どうもそうではないらしい。聞くともなしにさらに聞いていると、一度海外に出て研究実績を上げ、帰国してしかるべきポストでゆっくりしたいといことのようなのです。これはかなり衝撃的な話でした。この若さでこんなキャリア人生の見通しをもっている・・・。
二人はその他にこまごまとした具体的な就職先の情報交換をしていました。今はあらゆる情報があっという間に拡がってしまう時代です。国の内外の就職状況からすると先ほどのやり方が一番効率的によい仕事を得られる方法なのでしょう。賢いやり方なのでしょう。そう思いつつも、私はなにか茫然とする思いで食事が進みませんでした。そう言えば、私は学生の時友人と就職の話をしたことが一度もなかったなと思いました。これは教師になる選択をして一般企業に就職することから離脱していたせいかもしれませんが、たぶん就活をした学生でも先輩つながりだけだったでしょう。友人同士で就職のことが話題になることはなく、あったとしても決まった後でした。ましてや現在のような意味でその先のキャリア設計をしていた人がいたとは到底思えません。若い方に心底同情してしまうのはこんな時です。