2014年6月4日水曜日

「紅春 45」


 りくは普段の散歩以外は外出することが少ないので、たまのおでかけの時は落ち着きをなくします。新しいこと、久しぶりに経験することに興味津々なのです。

 先日は毎年の定期検診と混合ワクチンの注射に動物病院へ行きました。車で行くので二人いないとできない行事で、これまでは父がしていましたが今年から私の仕事です。

 入るとかごに入れられた猫の他、数匹の犬が待合室で待っていました。皆とても落ち着いていて、騒いだりする犬はいません。もっとすごい状態を想像していたのでちょっと拍子抜けしました。りくが一番興奮している感じです。しかしその日はあまり待たずに順番がまわってきました。

「りくちゃん、診察室にお入りください。」
と呼ばれ、兄はりくを診察台に上げました。獣医さんと話しながらゆっくり体重測定、体温測定、採血、問診と進んでいきます。りくは体重が9.78キロで去年と変わらないものの、これ以上体重が落ちたら痩せすぎと言われました。毎日苦労して食べさせているのにがっかりですが、もともと食が細いのですからどうしようもありません。

採血は足首のあたりからするのですが、結構時間がかかります。検査台の前に兄がいてりくの様子を見ていますが、りくは斜め後ろにいる私の方をじとっと見るので、「大丈夫だから。」と声掛けが必要です。体温は39.1度で正常値、人間より3度も高いのかと認識を新たにしました。フィラリアの検査結果は陰性で問題なし、血液検査の結果は後日郵送されることになっています。一番最後にお尻のあたりに混合ワクチンの注射がありましたが、これは痛かったらしく「きゃん」と鳴きました。

あとは家でゆっくり寝かせるだけですが、この日は兄が市役所で書類をとる用事があったのでついでに済ませて帰ることにしました。兄が用事をしている間、りくと私は駐車場の木陰で待っていると、同じく仕事で市役所に来たビジネスマン風のおじさんがりくを見つけ、声を掛けてきました。
「いくつですか。」
「7つです。」
と答えると、「えっ。」と驚いた様子。
「そんなになっているんですか。2つか3つだと思いました。」と。最近、「やはり年は争えない。りくもオヤジ顔になってきたな。」と思っていただけに、そんなに若く見えるのかとちょっとうれしく思いました。
「女の子ですか。」
「いえ、男の子です。優しい子なので女の子みたいなんですけど。」
「そうでしょう。」
本名の「紅春」からしてどうみても女の子の名前です。生まれた時からきっとぽやっとした感じの子犬だったにちがいありません。

 この日りくはちょっと疲れたようでしたが、具合が悪くなることもなく無事注射を終えて安心しました。また1年元気に過ごそうね。