2014年4月9日水曜日

「紅春 43」


 春の風物詩、狂犬病の予防注射に行ってきました。これまでは父がやっていた仕事です。もともとはもう一日遅く福島に帰って、翌日の注射場所に行くつもりだったのですが、そこは小学校より遠く1キロ以上離れているので一番近い場所に行くことにしたのです。

そういえば、小学校6年の或る土曜日、「今日は学校が終わったらすぐ帰ってきてね。」と母に朝念を押され、帰るとその足で一緒に犬を連れて再び学校方向にとって返し、神社の境内で行われていた予防注射をしてきたのがその場所でした。今思うと、母もあそこまで一人で犬を連れて行く自信がなかったのでしょう。

「りく、注射に行くよ。」 
開始時刻の15分前くらいに家を出て、今日は道草を食わないようにしながら集合場所に行きました。いつもと違う雰囲気にりくは勢い込んでぐいぐい進んでいきます。集合場所に着くと、注射はもう始まっていました。獣医は2人。終わった犬はどんどん帰っていくのでその場にいたのは数匹ですが、最近の傾向なのか小型犬が多い。なんとそこではりくが一番大きいくらいでした。小型犬は注射の時、怖いのか、本当に痛いのか、キャンキャン鳴いて阿鼻叫喚の様相を呈していました。りくは物怖じしない様子でいましたが、獣医が注射器を持って迫ってくると逃げ腰になりました。
「だっこします。」
「だっこがいいですね。」
だっこしたまま後ろを向けるとお尻のあたりにチクッとされておしまい。りくは一言も発しませんでした。
「おりこうさんでした。」

 まっすぐ帰って寝かせました。今日は大丈夫でしたが、6月ころ動物病院で行う3種混合ワクチンの注射の時は幾度か具合が悪くなったと聞いていたからです。りくはりくなりに疲れたようで、鼻を抱え込んで午後はぐっすり寝ていました。