2014年4月16日水曜日

「日米の子育て法」


 勤めていた頃、定期試験の監督は退屈でしたが国語の問題を見るのは楽しみでした。ある時、こんな話が題材になっていました。

 アメリカから来た女の子が、同じ年齢の女の子がいる日本の家庭で1年間ホームステイにを体験した時の話でした。朝は二人が寝ている部屋に母親が来て、さっとカーテンを開け、
「パンパカパーン、朝ですよ。起きてください。」
と声を掛け、朝ご飯を食べさせて二人を学校に送り出すという毎日でした。

 その子が帰国し、今度は日本の女の子がその子の家にホームステイをした時のことです。一緒の部屋に寝起きし、目覚まし時計で起床し、自分たちでシリアルの朝食を済ませて学校に行くという生活でした。何日か過ごすうち、何かのきっかけでアメリカ人の女の子が切れて、母親に食ってかかったというのです。
「お母さんはいっつも『自分でやりなさい』と言う。でも日本のお母さんは愛情を出し惜しみしたりなんかしない。」と。
作者は、「これは文化の違いでどちらがいいとか悪いとかいうものではない。」と結んでいましたが、考えさせられる話でした。

 これは赤ちゃんへの接し方の習慣の違いからくるものが大きいのではないかと思います。アメリカでは生まれた時から赤ちゃんの寝室は母親とは別と聞きますが、日本では家が狭いこともあって大抵一緒に寝るのではないかと思います。一度母に、
「赤ちゃんを夜一人の部屋で寝かせることってあった?」
と聞いたことがありますが、一蹴されました。
「そんなことできるわけがないでしょう。何か起こるのはいつも夜なんだから。」
喘息だった兄を育てた実感なのでしょう。問題は赤ん坊を一晩一人でおけるかどうかという判断は多分に心情的なものであり、そこにはやはり個に対する日米の考え方の差が関わっているでしょう。今では日本こそ別の意味で「個」が確立してしまった感があり、どれほどの家庭で親が子供に朝食を作っているのかちょっと疑問です。