電話が好きという人がいるのかどうかわかりませんが、私は病的な電話嫌いです。これは子供の頃からのことで、家で留守番している時にはいつも「電話がありませんように」と祈っていました。普通の訪問客なら玄関で用件を聞いて知り合いでなければお帰り頂けばいいだけですが、電話はすでに家の中にあるのです。勝手に家の中に入ってくるのを何故みな平気で許しているのか理解できません。
自分が掛けるのはもっと嫌です。電話の前で何度も逡巡した挙句、清水の舞台から飛び降りるような気持ちで掛けるのです。少なくとも要点は書きだしておかないと絶対頭が白くなるし、仕事で掛ける電話などはほとんどサイボーグになったかのような無機質な態度で、受話器を置いた途端どっと脱力し、それだけで自分を褒めたい気分でした。
こんな状態ですから、携帯電話などはもう悪魔の発明としか思えず、仕事で必要でなければ持たなかっただろうと思います。今持っている携帯を持ち歩くことはめったにないので、「携帯」ではなく「固定」電話と言ってよいでしょう。持って出るのは友達と待ち合わせの時と、自分から発信する必要がある時(兄に車で迎えに来てもらうなど)だけで、SOS用なのです。「固定」電話と言っても家でも離れたところに置いてあるので、電話が取れるのは掛かってくる時間があらかじめメールで知らされている時だけです。何のための携帯電話なのかと、皆さんあきれていることでしょう。時々メッセージを残してくださる方がいますが、この際カム・アウトしますが、聴き方がわからないのでそのままになっています。ごめんなさい。ただ、本当に重要な知らせならば必ず他の方法でも届くはずだと高を括ってもいるのです。ですので、電話に関する失礼があってもどうか怒らないでくださいね。メールなら大丈夫です。昨年末携帯会社から、「お客様のお持ちの形態は来年11月から電話番号を利用したメールサービスしかできなくなります」というふざけたハガキが来たので、まだ半年以上は猶予がありますが、通信機器をどうするかの問題に悩まされています。携帯電話をやめちゃえばどんなにほっとすることだろうと真剣に考えています。