りくが寝る前のにうとうとしている時、歯磨きをすることがあります。これだけは子供のうちからもっと頻繁にしておけばよかったと思うリストの最初にくるものです。りくは元来おとなしい子なので、なだめすかしながらやると一応いやがりながらも付き合ってくれますが、度が過ぎると「ウウ~」と唸って威嚇します。「あ、ゴメン、ゴメン」と、すぐ止めますが、りくの様子は、「まったく。眠いのに起こされて、姉ちゃんウザイ!」といった感じです。
遊びの時は、たまに妙にハイになって大騒ぎすることもありますが、体をなでていると赤ちゃんの頃のことを思い出すのか、お腹を上にして幸せそうな顔をします。でも、りくの手っこに触ったりすると急に怒って唸ることもあり、「りく、今『ウー』した?」と、すぐ止めます。ペットフードのCMで、ペットのストレスとして、「ご主人のスキンシップが過ぎる時」というのがありましたが、それですね。
こんなふうに、りくは全く臆することなく自然体で振舞っていますが、性格は本当におとなしい控えめな子です。今でもはっきり目に焼き付いているのは、柴犬の繁殖場の店内で、他の子犬と一緒に柵の中にいた時の姿です。他の子は人間の方に寄って来たり、じゃれついたり、キャンキャン吠えたり、それなりにやんちゃな様子だったのですが、一匹だけ何と言おうか、知らないところに連れてこられて、寄る辺なき姿でぼんやりうなつむいてちょこんとお座りしていた子がいたのです。「ああ、この子を連れて帰らなければ」と強く思ったのを忘れることができません。
今では家中どこでもりくの部屋といってもよく、そのままの自分で過ごしています。兄も、「あんなにおどおどしてた子が、自己主張できるようになって、りくはうちに来てよかったと思わない?」と言っています。ありのままの姿でいられるようになって、他人はどう思うかわかりませんが、これでいいのだと思わずにはいられません。