2017年12月15日金曜日

「紅春 116」

帰省してすぐの或る晩のこと、もう眠りに入っていたのですが、りくが小さく「ワン」と吠えるのを聞きました。 明らかに階段の下で兄を呼んでいるのです。しばらく音沙汰がないと、りくはやや大きめの声でもう一度一声吠えました。無駄吠えはいけないと思い、ピコピコハンマーを手にしてりくの頭を「ピコッ」と叩き静かにするように言いました。その後はちょっとふてくされた感じでしたが、朝までおとなしく寝ていました。

 翌朝、兄に話すと、「いつもいく夜中の散歩をしなかったからだろう」とのことでした。私がいない時は早朝起こされないように一度夜中に散歩しているようなのですが、りくにしてみれば昨夜吠えたのは「なんで今日は行かないの?」ということだったのです。普段は二階で寝ているとも言うし、私がいない時はいない時で、りくと兄の生活があるのです。しかし、りくには気の毒ですが、夜鳴きはいけません。用事があるなら二階に行って頼めばいいのに、階段の上り下りは不得意なので端折ったのでしょう。こういうちゃっかりしたところはやはりりくなのです。