2017年11月13日月曜日

「考えを寝かせるということ」

 頭の中にあることを文字にする場合、3つのパターンがあるようです。第一はその時々で一番正確に思考なり感情なりを書きとめることができる言葉を探して文字にする仕方ですが、これが最も落ち着いて書ける方法です。漢字や意味、知らない現代用語や社会現象などを調べながらゆっくり書けるのであまり間違いは起こりません。85パーセントはこの書き方でよいのです。

 めったにないこと(5%くらい)も時々起きます。言葉がどんどん降ってくるという状態のことです。この場合はとにかく書き留める、調べたいことも脇に置いてとにかく書く。私の場合は音声パソコンを用いているので、同音異義語の間違いが起こるのはたいていこのような時です。あとで読むときも音声なのでこのような間違いは見落とされてしまうことが多く、大恥を書くこともしばしばです。これは夜中にふと目を覚ました時に来ることもあり、寝ていたいと思っても翌朝には全部忘れていることは確実なので、ごそごそ起き出して書き留めて寝るということになります。書いていることが自分でもわからないこともあるのですが、嵐が去った後に調べて補則します。

 何であれ書こうとすることがはっきりしている場合はこれでよいのですが、もう一つ、一割くらいの頻度で、書きたい気持ちはあるのにそれが雲をつかむような中身のこともあります。この場合は大変に困ります。書いては消し、また書いてみるがやはり全然違うと往生します。がっかりするのは、書きたいことがなんとなくとても大事なことのようなきがするからです。この場合はとにかくメモの形でよいので書きつけておき、寝かせるしかありません。寝かせるというのは風化させるということです。気にしてはいるので、時間がたつと書きたいことが浮き出てきます。時には「これ、なんだろうな」と自分のメモの意味がわからなくなっていることもありますが、それはもう忘れてよいということです。しばらく寝かせていたものをしっくりとくる文字にできた時が一番うれしい気がします。