通院する病院が変わってから大学の総合図書館に寄る機会が少なくなってしまいましたが、しばらくぶりで行って来ました。あまり行かなくなったもう一つの理由は、そこがずっと改修工事をしていたことです。(まだ続いており、この日も図書館は工事の音で相当うるさかったです。)三階の広かった読書室が半分に区切られた時から想像できていたことですが、残念な結果になりました。入り口が反対側になったのはいいとして、内装が新しすぎてきれいすぎ、アメニティがとりわけ重視される場所以外は前とは比べものにならない醜悪さを呈していました。図書館というところは、天井の高さや部屋の造り、本の配置のたたずまい全部を含めて図書館だと思うのですが、ほとんど劇画的に破壊されてしまいました。かろうじて4階に以前の天井と壁が少しだけ残っていましたが、全体として仮小屋のような安っぽい造りです。本はそのままあるのでよいとしなければなりませんが、あの長時間座っていても全く疲れない古めかしい机と椅子もほぼなくなって本当にがっかりです。パソコンが使える机もあるのでまだ耐えられますが、数は激減し、新しくできた地下自習室(入口は別)にそのための広大な空間があります。しかしそこは在学生以外は使えないので残念です。まあ当然なんでしょうけど、なんとなく排除された気分で面白くありません。そんなに頻繁に行くわけではないのだから、広い心で使わせてくれてもいいのになあ。
それにしても、あの重厚な高い天井の図書館はどこへ行ってしまったのでしょう。ちょっとやりすぎかというほどの、三階まで続くだだっ広い赤いじゅうたんの階段も今となっては懐かしい。図書館の価値は本の数と同じくらい空間の広さにもあると思うのは私だけではないはずです。実際あそこにいくとインスピレーションが刺激され、いろいろな想像がわいたものでした。私にとっては『薔薇の名前』の図書館を唯一体験できる場所でしたが、こんな狭苦しいお粗末な図書館になってしまい、立案した人は何を考えているのかと失望のあまり嘆息しました。大学の敷地にはどんどん建物がたち、従来の建物は仕切られてどんどん小さくなっていく・・・。これじゃあ、人間もどんどん小粒になっていくのではないですか? この日、図書館とは別にびっくりしたのは中央食堂が3月いっぱいまで工事で閉鎖されていたこと。あそこがなくてどうやって昼時の大学の胃袋を満たすつもりなのかは謎です。この日は第二食堂に行きましたがやはり込んでましたねえ。私はゆったりした気分を味わいに大学の敷地に行くのですが、もはや前提が間違っているのでしょうね。せかせかした雰囲気に取り囲まれた感じでトホホなことが多い日でした。