2017年9月5日火曜日

「駐輪場問題」

 シェア自転車の話を聞いて、日本でうまくいくかどうかわからないものの、参考にできる点もあるなと思いました。マンションの理事会で取り組んだことの一つとして駐輪場の問題があります。通路にはみ出た自転車に足をとられて居住者が転倒する事例が発生したからです。ここの駐輪場は一列おきに上段ラックの付いた二段式となっており、下段は混み合っていますが、上段は空きがたくさんあります。下段から上段へ何台か移動してもらうことができればわずかながら改善するのではないかと始めは考えていました。しかし、よく調べてみるとそういう問題ではありませんでした。

 居住者が一日の活動を始める前の早朝、置かれた自転車の位置と形状を調査したところ、空いているように見える上段も、実は下段に後部かごやチャイルドシートのついた自転車があるためにラックを降ろせず、使用不能となっている場合が多いことがわかりました。毎日少しずつ現場検証をし、結局実際に使える空ラックを概ね確認できました。また、ラックの使用方法として、まず上段にもラックの付いた場所に駐輪してからその中間のラックに駐輪する時に限って、ラックから飛び出さずにきちんと駐輪できることがわかりました。しかし、居住者がその順番に帰宅するわけではありませんから、中間ラックに先に駐輪されてしまうと飛び出しが起こる構造になっていたのです。

 空ラックが多ければ、改善案の提案も可能だったのですが、今の現状でできるのは諸事情の説明と注意喚起だけでした。今回徹底調査してよかったのは、自転車がラックから飛び出すメカニズムを解明し、理事会が駐輪場対策として打つ手はないことを証明できたことでした。とりあえず今のところ増設という方向性の考えはないので、できることとできないことをはっきり区別するのはこのような場合大事なことです。しかしここで発想を変えて、個人が自転車を所有することにこだわらなければ、部分的にシェア自転車を取りえれるという選択肢もあるなと思いました。おそらくそれは実現するにしてもだいぶ先のことであり、様々な社会的環境の整備や駐輪場使用料が減ってしまうという実際的問題を解決した後のことになるでしょう。