報道番組を聞いているつもりが、今はニュースとは言わず情報まとめ番組というそうです。とてもニュースとは名乗れない代物であることを放送局も自覚しているのでしょう。最近経験するのは、一事が万事この通り、確固たるものと思っていたものが溶解していく様子を砂被りで見ている感覚です。子供の頃は一目瞭然だった大人との一線はもはやなくなり、子供じみた言い訳や振る舞いをする、肩書だけは立派な大人がいるだけになってしまいました。日本だけではなく世界中どこでもそうであることに深い失望を禁じ得ません。めまぐるしい現代社会や通信手段の質的変化が目も当てられない大人の実態をあからさまにしている一因ではありましょう。世の為政者たちのなりふり構わない愚かな言動は言うに及ばず、身近な共同体でも大人の責任ある行動が崩壊しつつあるのは、金にならないことはしないという風潮が長い間かかって行きついた結果でしょう。これに対抗する有効な手立てはありません。良識ある個々人が社会にとって良いと思うことを、たとえわずかずつでもする以外ないのです。自分の責任でできることをできる範囲で地道に続けるくらいしか、崩れゆくこの世界を支える方法はありません。まして立て直すなどというのは、目も眩むような時間の果てに実現できるかできないか、といった類のことです。
最近は動物をテーマにした番組が多いように思いますが、気持ちはよくわかります。動物の場合、普通なら弱肉強食の関係であるはずの異種間においてさえ、仲良く過ごす麗しい関係が成り立ち得ることを知らされているからです。有名なのは、確か麻薬組織のペットとして飼われ、虐待されていたライオンとトラと熊の話です。つらい体験を三頭で乗り越えてきただけあって、堅い絆で結ばれており、本当に仲良く肩寄せあって生きているのです。猛獣同士ではありますが、まさしくイザヤ書11章に描かれた世界。動物でさえこうなのに、どうして人間は無意味に憎み合うのかと失望感が深まります。あり得ないような動物の映像に希望を託しているのかもしれません。