パソコンに関して、私は最強と言われる某セキュリティソフトをずっと愛用しています。パソコンのウィルス感染だけはなんとしても防ぎたいと思うからです。さて、このたび1年間の自動延長更新の時期が来てクレジットカードの情報を更新してくださいとの連絡メールが来ました。例の紛失事件によりカードが新しくなっていたからです。商品が結構値の張るものだったので少し考えて、更新ではなく一度停止することにしました。もちろん、クレジットで落ちないのですから放っておいても同じ効果が得られるはずですが、ちょっと調べて停止の手続きをしてみることにしたのです。
この会社の場合、利用停止を希望する場合は必ず利用停止ページから利用停止手続を行わなければならないことになっているようです。製品を削除 (アンインストール) しようが、パソコン自体を処分しようが、利用期間延長自動更新サービスはとまらず、利用停止 (契約の解約) にはならないのです。これは考えてみると恐ろしいシステムです。このまま利用者が亡くなり、家族がこのことを知らない場合、課金(利用者からすれば口座引き落とし)はずっと続くことになります。
さて、利用停止にトライしましたが、これがはなはだ煩雑で、隠されているのではないかと思うほど「利用停止ページ」が見つからないのです。運よくそこに入れたら、「以前のご注文番号」と「電子メールアドレス」の入力をします。その後、停止したらどんな恐ろしい危険がパソコンに襲いかかるかというメッセージが流される中、くどいほど何度も「停止」をクリックしてようやく停止にこぎつけるのです。時間のない方、パソコンに疎い方、脅しに弱い方、「以前のご注文番号」を控えていない方等々は、途中でめげてしまうかもしれません。
私は最後まで行きつけましたが、やってみてこれがまともな会社のすることだろうかと不信感が募りました。そもそも私はダウンロードではなくパッケージ版でインストールしていたはず。いつのまにダウンロード版になってしまったのか。きっと何かクリックしたのだろうが、巧妙に誘導されたのに違いない。それに初めのはデラックス版だったはずでいつのまにか高額なプレミアム版に変えられている、クレジットカードの変更手続き期限を知らせるメールは余裕を持って届いたが、利用停止手続きの期限はほとんど時間的余裕を与えていなかったようだった、あれも利用者を自動延長更新に追い詰めるための手法なのか…。
私の勘違いもあるかもしれませんが、一度心に疑いを持つとどんどん広がる暗雲は止められません。始めはクレジットカードの更新情報を知らせなければ大丈夫なはずと思ったのですが、利用停止の手続きをしなかったために万一あとで請求が来ないとも限らない、きちんと手続きをしておかねばという気持ちが堅くなったのも事実です。相手からすれば自動延長サービスはなんと容易な課金システムでしょうか。しかし、私はこれをまともな商売とは認めません。いつしか自分が詐欺師に対峙するのと同じ心境でいることに気づきました。
結局、同じ会社の3年間のパッケージ版を購入して用いることにしました。製品自体には信頼をおいているのに販売方法には大きな不信感を抱いている、と言う事態はかなり珍しいように思います。今回買ったものもインストールするとそれ以前の有効期間は無効になるので、いま入っているものの期限が切れる日にインストールすることになります。このあたりも利用者の利便性を考えてくれたら信頼感が増すのですが、私などにはわからない企業の事情があるのでしょう。ただ率直に言って、これほどの疑念を消費者に抱かせてしまう企業ってどうなんでしょう。そのことに企業や社員はきづいているのでしょうか。気づいていないとすればあまり賢明な会社とは思えず、気づいていて「うちの製品なしでやれるならやってみろ。」ということならあまりに傲慢ではないでしょうか。方針が決まって私が今一番ほっとしているのは、あと3年はこのことで不愉快な思いをせずに済むということです。