人を性格で二分するとしたら、外向的か内向的かが最も重要な分類であり、それは人の一生に決定的な影響を与えるものでしょう。当てずっぽうですが、これまでの経験上日本人の生来の性質として、外向的な人と内向的な人の割合は3対7くらいかなと思います。前者は周りの人を巻き込みながら比較的楽に社会生活が送れる人であり、後者の2割くらいは人とのコミュニケーションに苦痛を感じるほど社会生活が苦手であり、残りの人はそれぞれのレベルでそこそこにあるいはだましだまし、社会に適応しているような気がします。もちろん社会生活は慣れによる部分が大きく、訓練する意味はあるのですが、よく言われるように病気は治ることがあっても性格が変わることはないのです。
農業など従来の第一次産業や職人業は比較的人とのコミュニケーションが少ない職業だったかもしれませんが、これらはもはや希少と言ってもいい部類の職業です。現代はサービス業に従事する人が圧倒的に多いのですから、高度なコミュニケーション能力なしに職に就くことが難しくなっており、内向性の度合いが高い場合、非常につらい立場に追い込まれることになります。人は容姿、芸術性、知性など、それぞれ持って生まれたもので世渡りしていくわけですが、今ではその中に外向性というのも大事な要素として入れなければならないだろうと思います。
ただ、内向的だからと言って悲観する必要はありません。変な言い方ですが、それに気づかなければいいのです。私は自分をどちらかといえば内向的だがまあ普通だろうと思って30年近く勤めてきましたし、やっている時は天職だとさえ思ってもいたのです。退職して初めて自分がいかにその職に向いていなかったか、いかに無理をしてきたかわかりました。職業とはある意味、自分に合わないと思ったことをどうやって続けていくかの問題だと言ってもいいくらいなのですから、間違っていたわけではないのです。勘違いでここまでやってこれたのは幸せなことでした。自分は内向的だから世渡りがつらいなと気づいてしまった人は、このさい思い切り開き直って、仕事中は演技に徹して楽しむというのも手かもしれません。