日本のクリスチャン人口は1%を超えたことがないと言われています。もちろん歴史的な経緯や国民性といった理由があるでしょうが、近ごろこの数字を少ないという前に、人口の1%の信者数というのは案外妥当な数字なのではないかと思うようになりました。
いわゆるキリスト教圏の国々で国民の大半が信者であるといっても、日本におけるほど明確な自覚があるかというと疑問に思わざるを得ません。間違っていたら申し訳ないのですが、キリスト教国においてそれなりに信仰に基づいた生活を送っている人でも、自らの信仰について厳しく問うことがないまま、日本における神道や仏教のようにただ古くからの慣習に従っているだけということもあるかもしれません。相当前からヨーロッパではかなりの規模でキリスト教会が消えているのではないかと思います。フランクフルトのパウルス教会のように教会としては維持することができず、展示スペース等として利用されている建物も多いことでしょう。悲しいことです。しかし、かといって、目端の利く指導者が入念なマーケットリサーチをもとに経営しているビジネスのような、アメリカのメガチャーチもどうかと思います。聖職者による説教付きのショッピングモールやコンサートホール、シネコンとどこが違うのでしょうか。これもまた目指すべき姿ではありません。
日本のキリスト教も特に地方で衰退が顕著ですが、高齢化や少子化、加速する社会の多忙さ等のせいもあると重々わかったうえで、敢えて言うならそれは聖職者と信徒両方の責任です。進む方向は間違っていないと思いますが、伝道する力が欠けているのです。新興宗教等による犯罪が起きるたび日本の宗教アレルギーは高まり、普通の信仰者が気後れしてしまうのはわからないでもありません。しかし、これほど自殺者や病んでいる人が多いのです。人の魂を救う本当の言葉を知っているなら伝えずにはいられないという気持ちは必ずどこかにあるはずです。
以前、キリスト教と縁もゆかりもない人が教会に行ってみたいと思いたった時の実録を読んだことがありますが、この方はリサーチして近くまで行くもののどうしても会堂に入れず、入るまでに1カ月かかったと書いていました。それまでキリスト教と縁のなかった人が自力で教会に行くのがこれほどまでに大変なことだとは想像できませんでした。何か手助けになるようなことができないものかと考えてしまいます。