2014年9月3日水曜日

「涙の映画鑑賞」


 一般にはあまり流行った映画でなくても、個人的には印象深い映画というものがあります。

 私が子供のころ、夏休みに体育館で(当時は講堂と呼ばれていました。)映画鑑賞会がありました。午後3時か4時頃から始まり2時間ほど映画を見ても夏だからまだ明るいうちに帰れるような時程だったと思います。登校日でもなく、夏休み中なので来られない人は来なくてよい、おそらくむしろ、どこにも行けない子供の娯楽のためだったのではないかと今では思っています。

 私が覚えているのは、「巨人の星」と「ボクは5才」。前者は知らぬ者のない国民的熱血ど根性漫画ですが、後者は知らない人も多いでしょう。40年以上前の映画で、5才の男の子が出稼ぎに行った父親会いたさに、以前行った時ランドマークを描きとめたスケッチブックを持って無銭旅行に出る話です。覚えていることは、ミヤコ蝶々が出演していたことと主題歌がチムチムチェリーに似ていたことくらいです。男の子の賢さや勇気を応援しつつ旅路にはらはらしながら、皆自分が主人公になったような気持ちで映画に熱中してしまいました。すれ違いで父親に会えない、「えー、可哀そうすぎる」と思った瞬間に、忘れ物を取りに来た父親に再会できたという結末で、その場にいた小学生全員から涙を搾り取った映画でした。

 もう一本忘れられない映画は、社会人になってから見た日本名「フォーエバー・フレンズ」という女の友情を描いた映画です。原題は”Beaches”で、家庭環境も性格も全く違う幼い二人の女の子が海辺で出会い一緒に遊んで親友になるのですが、大人になって再会すると立場も考え方も違うため確執が生じます。一人はショービズの世界で成功した女性でベット・ミドラーが演じ、もう一人は弁護士の奥さんでバーバラ・ハーシーが演じていることからもわかるように、この二人に共通点はほとんどないのですが、子供のころの友情は絶対的なもののようで、どんなけんかをしてもお互いをかけがえなく思っているのです。結局、バーバラ・ハーシーは不治の病を得て亡くなるのですが、ベット・ミドラーに娘を託し彼女が女の子を引き取るところで話が終わります。この娘は(二人が海辺で出会ったのとちょうど同じ年頃です。)母親が生きていた頃、二人の固い友情に気づいていてベット・ミドラーとの間に三角関係が生じ、お互いに意地悪をしあうところが可愛く描かれていました。

  文脈は忘れましたが、これをどういうわけか新京極の映画館で友人と見たのでした。映画の主人公の気持ちがわかりすぎて、最後は二人ともボロボロ泣いたのを覚えています。忘れられない映画です。