「姉ちゃんは帰るよ。じゃあね。」
とりくにくるりと背を向け歩き出しました。
「りくはどこへも行けやしない、すぐついてくるだろう。」
と思ったのですが、振り返ってみるとじっとこちらを見たままの姿勢。私はそのまま歩き続け、ちょっと走るまねをしたりしながら進むと、20メートル、30メートルと離れていきます。りくは身じろぎもせずに同じ姿勢でいます。
「おのれ、りく・・・」
私はそのままどんどん歩き、ついに距離は50メートルくらいになりました。りくを見ると相変わらずじっとしていましたが、その向こうに人がやってくるのがみえました。
あっ、これはまずい。
私がりくに向かってダッシュすると、その瞬間、りくも私に向かって猛ダッシュ。りくと私は真ん中あたりで合流し、りくは小刻みに足踏みしながら私に体を摺り寄せてはしゃいでいます。再会を喜び合う姿は、そこだけ見たら、「南極物語」そのものでした。