2014年5月3日土曜日
「紅春 44」
「電飾ガオーに会った。」
「どうだった?」
「相変わらずだけど、離しておいたから。」
私は夜はりくの散歩をしないのでその状態で会ったことがないのですが、「たぶんあの子だなあ。」と心当たりの犬がいます。昼間一度会ったとき、りくが唯一、一戦を交えた犬なのです。普通に散歩させていたら、「グルルルー」とうなり声をあげて襲ってきたのです。りくより少し大きくがたいがよい犬でした。あわててリードを引きましたが、お互い少々やりあった後でした。両者とも噛んではいないと思うのですが一応飼い主同士名前のやりとりをして別れました。
散歩中、気性が荒い犬に出会うことも結構ありますが、あれほどの犬は初めてです。りくだけでなくあらゆる犬に対して凶暴な態度を示すようでした。りくが売られた喧嘩を買うタイプというのもこの時まで知りませんでした。犬川柳にあったっけ。
「喧嘩ダメ、言いつつ内心、負けちゃダメ」
その後一回だけ昼間散歩した時にその犬に会いましたが、飼い主さんが遠くからこちらの姿を認めた途端、かなり重いだろうに犬を抱き上げて草地の端っこに寄っていました。こちらを気遣ってのことなのか、自衛のためなのかわかりませんでしたが、声を掛けられることもなくその後会うことがありませんでした。
兄の言葉では、「気の荒い犬は他にもいるけど、あの子は特別。」とのこと。昼間散歩するといろんな問題が起こるから夜散歩することにしたのだろう、それも相手に警告する意味で遠くからも見える電飾状態でやってくるのだろうと。電飾は飼い主さんもしているとのことで、私はすっかり同情してしまいました。犬だって生まれつきの性格なのだから可哀そうといえば可哀そうです。りくみたいな性格に生まれていたら、なんの苦労もなくかわいがられていたでしょうに。