2022年12月23日金曜日

「雪のある暮らし」

 冬は予定通りに帰省できるかどうか、いつもハラハラします。新幹線のためではなく(福島までは相当雪が降ってもほぼ大丈夫)、食糧確保のためです。家が郊外にあり、最寄りのコンビニまで1キロ、スーパーマーケットまでは1.5キロはあるので、大雪が降ったらお手上げです。そのため2~3日前からネットスーパーの配達受付画面とにらめっこし、「ああ、まだ受付停止だ」と落ち込んだり、受付開始と同時にできるだけ急いで注文を確定してほっと安堵したりします。これが決定してから帰省の日時を決めるしかないのです。

 先日、日本海側の地方で大雪となり、何キロにもわたって車の立ち往生し、また停電が起きて庭に止めた車内で暖を取ろうとして一酸化炭素中毒で亡くなる等の事故がありました。寒さに震える生活はまさに東日本大震災で被災地が経験したことであり、どれほどお辛いだろうと他人事ではありません。雪の降る地域ではオール電化などとんでもない話で、電気がないと使えないファンヒーターでさえ補助的な暖房器具です。主役は何と言っても昔ながらのストーブ、赤々とした火を見ながら湯を沸かし、煮炊きをしているうち、部屋も暖かくなるのです。帰省して乗ったローカル線の待合室には達磨ストーブが燃えていて、また使用していないホームの反対側に置かれた車両は暖房されて、電車を待つ間に体がほぐれました。本当にありがたいサービスです。

 寒気の到来で数日間大荒れの天気が予想された前日、風は強いながら珍しく晴れた幸運を逃さず、3カ所ほど回って必要な買い物をすべて済ませました。「しばらくは一歩も家から出られなくても大丈夫」と安心しました。命綱の灯油は兄に5缶ほど備蓄してもらいました。とにかく天候の良いうちに一生懸命にならないと生きることができないのです。子供のころ住んでいた猪苗代では冬は雪の中で暮らしていましたが、懐かしい情景として兄が床屋さんのことを話してくれました。カット台の向かいに畳敷きの部屋があり、皆でこたつに入って湯気の上がるやかんから湯呑で白湯を飲みながら順番を待っていたというのです。雪国においてこれほどパラダイス的情景はないでしょう。豊かさという尺度を問い直さないといけないと思わされたことでした。